「iPhoneプログラミングUIKit詳解リファレンス」のレビュー

 今回レビューしたいのはこちらの本です。

iPhoneプログラミングUIKit詳解リファレンス

iPhoneプログラミングUIKit詳解リファレンス

 今年最初の3連休、1/9にこの本を家の近くの書店にて見かけました。発売日が1/12になっているので、どうやら早売りでたまたま店頭に並んでいた様ですね。「だんだん日本語の書籍も増えてきたかな」と思いながらiPhone開発系の書籍コーナーを眺めていて、タイトルが目についてパラパラと本書をめくってみました。すぐに「これはよい!」と思い、iPhone系の書籍は既に3冊あったにも関わらずすぐに購入してしまいました(笑

 発売して間もないのですぐにレビューを書けばよかったんですが、なかなかゆっくり読む時間を取れずに時間が経ってしまいました。申し訳ない。

 以前から「UIKit系クラスの使い方、Tipsが分かりやすく網羅されている書籍が欲しい」と思っていたのですが、本書はそれを満たしていると思います。本書を開いたら左側のカバー裏にまずこう書いてあります。「本書はiPhone SDKについて一通りわかった読者が・・・」。

 iPhoneアプリ開発初心者の自分はまさしくその状態。本書のタイトルにもあるUIKit系クラスを広く、かつよく使う部分を網羅しつつ、分かりにくいところはクラスの使い方だけでなく仕組みも解説されていてとてもよかったです。

 全体的にただ単にリファレンスだけ終始せずに、サンプルコードとそれの実行結果の画面、それが交互に載っていて、わざわざサンプルコードを自分で書いて実行しなくても早く理解出来ます(もちろん書いてある事を自分のものにするにはコード書かないとダメなんですが)。

 まず、本書の使い方の解説から始まり、この手のリファレンス系書籍でありがちな「Hello World!」プログラム、そして最初の章からInterface Builder(以下IB)を使わないサンプル。これ以降の章では全てIBを使わない前提になっています。

 最初からIBを使わない方向に持って行く辺り、本書この辺で著者が書きたい内容と自分が欲しいと思った情報が合致していると感じました。もしIBを使ってアプリ開発し特にIBを使う事に抵抗を感じていない方は、クラス内部の詳細の使い方は参考になるものの、随時読み替える事が必要になるかも知れません。

 それ以降の章でUIKit系クラスの根幹を成すUIViewの詳細解説、UIViewControllerやタブバー、ナビゲーションバーでの画面遷移アーキテクチャの解説とサンプルコードが紹介されています。私はiPhoneアプリ構築でここが特に分かりにくく、かつ一番重要だと思っていたので、それが詳細に解説されていてとても参考になりました。

 更にそれ以降は目的別に章立てされていて、フルスクリーンやランドスケープ、グラフィックやアニメーションの扱い、マルチタッチのハンドリング、アラート等のユーザ通知、テーブルの扱い等々、その他のUIKit系クラスも網羅されていると思います。

 本書は私の様な、
「一通りiPhoneSDKについてなんとなく分かったけど、でも基礎が固まっていなくてイマイチちゃんと分からない・・・。」
という方にピッタリですし、

Apple公式APIドキュメントを読んでもよく分からない。分かりやすいリファレンスが欲しい。」
とお考えの方にも合っていると思います。

 ただ、Objective-CやUIKit系以外Cocoa Touch Frameworkに対する解説はなく、それの理解が前提条件として必要です。つまりこれ1冊だけでiPhoneアプリ開発を行うのは難しく、初心者向けの入門本としてはおすすめ出来ませんのでご注意ください。

 私個人的には、本書の内容を理解した後、かつそれなりに使える様になった上で、去年購入してこのブログでも紹介した「iPhone SDK アプリケーション開発ガイド」を読むとかなり理解が深くなると感じました。

 ですので、まずは本書をリファレンス代わりに使ってみて、もっと深いところ(特にUITableView周り)を調べるときに「iPhone SDK アプリケーション開発ガイド」を使うやり方をしてみたいと思います。

 冒頭でも書きましたが、昨今はiPhone系の書籍が大分増えてきて嬉しい限りです。実はもう1冊気になっている参考書があるのですが、それはまたの機会に。